天使のエージェント

高島郁夫&ChatGPT 著
※楡周平の「Cの福音」を元にバイオレンス系の短編を。
天使のエージェントはシリーズ化しようかな。こういう連中が必要な世の中だから。せめて小説くらいはスカッとしたいからね
『国会の闇に火を放て』
1. 議員バッジと口座番号
赤坂の高級料亭「常盤屋」。
裏口から、警備もつけずに出てきたのは――衆議院議員・石井宗一郎。
代々続く地盤を引き継ぎ、元は建設官僚。
今では表で公共事業、裏で資金ロンダリング。
口癖は「俺は違法じゃなくて脱法をやってるんだ」。
その石井が乗り込んだのは、見慣れないタクシーだった。
ドアを開けた瞬間、目の前に黒い銃口。
無言のまま押し込まれ、数分後、品川埠頭に着いたときには、両手は結束バンドで縛られていた。
「せ、政府には話が……」
「その“政府”が問題だ」
南雲の拳が顎を撃つ。
戸梶は、タブレットを見せながら言う。
「“ヤマト建設”名義のパナマ口座。振込記録が三十件。全額、政党支部経由でお前の個人口座。説明してくれ」
「脅迫か?公安か?それとも検察の裏部隊か?」
「違う。“公務員に見捨てられた国民の代行業”だよ」
2. 粛清は静かに
石井は喋った。
命より地位、地位より金。
そしてそのすべてを守ってくれるのは、沈黙しかないと思っていた。
だがこの夜は、違った。
南雲の小型ドローンが議員会館に飛び、データを抜き取った。
同時に、戸梶は録音した音声データを、その場であるSNSアカウントにアップ。
「議員本人による裏金の供述だ」
一時間後、X(旧Twitter)では「#議員の懺悔」がトレンド入り。
ネットの炎上と同時に、石井宗一郎の車が隅田川に転落したと、翌朝ニュースが報じた。
3. 炎上後の静寂
「これで終わりか?」
「いや、奴のバックにいる財界人が本丸だ。議員はただの札束の伝書鳩にすぎない」
戸梶は缶コーヒーを飲み干し、南雲と別れた。
遠くで国会の屋根が夕焼けに染まっていた。
あの中にも、まだ“次の標的”が潜んでいる。
⒋ 「番犬」が喰い殺された日
石井宗一郎の“事故死”から3週間。
国会は静かだった。
不自然なまでに静かだった。
「あいつ、消されたってのに、与野党ともに黙殺だぜ」
南雲は不機嫌そうに言った。
「黙ってるわけじゃない。みんな知ってるんだ――次は自分かもしれないってな」
戸梶は笑わなかった。
その日の夜、彼らは新たな依頼メールを受け取る。差出人は《御堂 和正》。元検事総長秘書にして、現在は民間シンクタンクの理事。
メールにはこうあった。
「貴殿らの“始末”には敬意を抱く。
だが石井の背後には『Mファイル』がある。
国家が闇を維持するために残してきた記録簿だ。
持ち主は、元首相秘書官・小田嶋靖人。
あとは頼む。俺はもう限界だ」
添付された画像の中に、首を吊った御堂の写真があった。
⒌ Mファイル
「Mファイル」とは何か?
旧大蔵省、電力利権、公共事業、原子力予算、広告代理店への還流、外資との通話ログ。
すべてが網羅された“公文書にできなかった日本の戦後”だった。
「小田嶋がこれを使って、財界をまとめてる。ヤクザも公安も全部飲み込んでな」
戸梶は、USBデータの一部を睨んだ。
「Mが何の略か、わかるか?」
「Moneyじゃないな」
「『Ministry(省)』だ。“すべての省”って意味だよ。もはや政治家じゃない。“官”が国家を私物化してる」
ターゲットは、小田嶋靖人。
元首相の懐刀でありながら、現在は「帝都財団」という公益法人の理事長。
その実体は、裏金の中継地点にして、あらゆる情報のゴミ捨て場。
6. 地下室
六本木の地下パーキング。
小田嶋が乗ったレクサスLSが止まったとき、もう逃げ道はなかった。
照明が落ちた瞬間、南雲がフラッシュバンを投げ込む。
「……ちっ」
小田嶋は咄嗟に防弾ブリーフケースで身を隠したが、無意味だった。
戸梶の蹴りで鼻を潰され、床に這いつくばった彼は呻いた。
「……貴様ら、国家を、破壊する気か……」
「違う。もう壊れてる。俺たちは、その死体を燃やしてるだけだ」
7. 公開
翌日、X(旧Twitter)には匿名アカウントからMファイルの一部が流出。
新聞社が見て見ぬふりをする中、海外メディアが大きく報じた。
「日本の官民複合体の実態――元首相秘書官による利権独占ネットワーク」
(New York Times Asia 版)
だが、その頃には戸梶と南雲は姿を消していた。
8. 静寂の前夜
箱根の山中。
南雲が焚火を見つめながら言った。
「燃やすのは簡単だが、建て直すのは、骨が折れるな」
「それでも、誰かがやらなきゃな」
「……お前、まだ正義とか信じてるのか?」
「信じてない。ただ、“正しくないもの”に慣れたくないだけだ」
火がはぜた。
夜は深く、星は見えなかった。