THE LIFEFUMIO TAKASHIMA
商売古今東西2026.5.18

無印とニトリ

無印とニトリの記事が出ていた。無印の成長が著しいのとニトリが成長鈍化している記事だ。片やブランド力、片や安さを売りに大きくなった企業だ。自分にとっては当然そうなるだろうと思っていたが、やはりデザインに対する姿勢やブランドに対する思いが安さに優ったのだろう。思えば無印がそれほど大きくない頃、堤清二さんの片腕として創業社長のように勤められた木内さんとは親しくさせて頂いた。田中一光さんや小池一子さんなどのクリエイターがアドバイザーになり、ブランドの基礎固めを行なっていった。一時、業績が落ち込んだ時は松井忠三さんが社長になり企業としての生産性を高め、ブランドと生産性という難しいバランスの基礎固めをし、再度成長する企業になっていった。一時は数百億円の時価総額の企業だったが今や2兆円の時価総額だ。思うに日本で唯一のブランドビジネスを成功させた大企業ではなかろうか。片やニトリは安さを武器にするのはいいが、商品やブランドに対する思想がなく、無印やカインズ、Francfrancなどのコピー商品を多く作り、また巨匠のデザイナー、ヤコブセンやアアルトなどのコピー商品まで販売している。やはり、そういう思想などが消費者にも伝わってしまうのだろう。かつては2.5兆円あった時価総額も今や1.3兆円だ。自分ならやはりニトリの企業や商品に対する思想をはっきり構築し、あれだけ資金の豊富な企業であるから200億円ほどを世界中のデザイナーに投じるだろう。ユニクロは「ライフウェア」という言葉を造ったことはとても大きい意味があったと思う。そういう思想がニトリには欠けているのだ。表層的なデザインだけではなく、根本的な企業やブランドとしての思想が経営には大事なのである。経営学者野中郁次郎さんの唱えるアート&サイエンスである。単なる「安さ」だけではアートにはなり得ない。同じように比較されるIKEAもあるが、彼らは創業者のカプランさんが早いうちから社内外の多くのデザイナーを器用に安さとデザイン性を掛け合わせたブランドになっていて非公開だが売上7兆円を越し、企業価値は15兆円ほどだと言われている。フランスのLVMHのように日本ではなかなかブランドビジネスの大企業が育たないが、ユニクロや無印など、そろそろそういうブランドがたくさん出てきてもおかしくない国である。次世代の若い起業家達に大いに期待したいものである。