THE LIFEFUMIO TAKASHIMA
商売古今東西2026.3.5

百貨百様

アメリカを見ているとかなり厳しい業態になってきたが百貨店というものを振り返ってみようと思う。自分が幼い頃、地元福井には「だるまや」という百貨店があり、やはり何となく子供ながらに母親と出かける百貨店はウキウキするものがあった。何があったかと言うと屋上遊園地とお好み食堂である。福井だけでなく当時の百貨店というのは全国各地そんな存在であり、なぜかウキウキするのであった。

そして時代は飛んで、昭和の終わりから平成にかけての頃はまだ百貨店といえば、どこの店も大型の店舗を構え、それぞれが競い合ってた時代だ。今は面影がないが堤清二さんがつくった西武は文化発信度の高い店で、センスという面ではとても良かった。ロフトやシード館、WAVEなども西武から生まれた業態だった。伊勢丹本店や松屋銀座、大阪の阪急本店、大丸神戸店などもセンスでは良い店だった。また規模を誇る店もあり、三越本店、高島屋、そごうなどはどんどん大きな店を構えていた。また各社とも海外にも店舗があり、パリやミラノに事務所を持つ百貨店も多かった。そごうの各店には回転レストランと共にとても立派な店長室があり、たまに行くとこちらが恐縮するほどの広さと風格がある店長室だった。有名社長の水島さんは拡大戦略で負債額も1兆円を超えていたがバンバン店を増やしていたが最終的には1兆7千億円の負債を抱え倒産した。その後堤清二さん亡き後の西武とそごうはセブン&アイが買収しそごう西武となったが、元々の2社の隆盛の時に比べたら特色のない百貨店になってしまった。そんな変遷を経て今は新宿伊勢丹、阪急梅田店の2強だけではないだろうか?大丸や高島屋も頑張ってはいるだろうが、あまり特徴は見えない。特に高島屋は海外(シンガポールやベトナム)で稼いでおり、国内は玉川高島屋や横浜高島屋の方が地元に溶け込んでいて特色があるように思う。個人的には銀座松屋が好きだ。規模は大きくないがデザインを意識したライフスタイル関係が充実しているし、ファッション以外の魅力がある。たまに時間がある時暇つぶしに百貨店をぶらぶらする事があるが、やはり楽しいのは食器や家具、美術、あるいは物産展であろうか。呉服も意外に面白い。しかし、たまに見かけるペルシャ絨毯とか、段通などまだ買う人がいるのかなぁと思ってしまう。相変わらずマネキン(販売代行の人)がいたりして、古い人たちもまだ働いている。また今だに外商の人達や特紹会などもまだあって、このネット社会の中でも変わらないものが脈々と残っている。しかし熟年相手のこういう商売も徐々に減っていくのだろう。アメリカの百貨店業界を見ていると日本も同じ道を辿ってゆくかもしれない。またパリのボンマルシェや、ロンドンのセルフリッジのように特徴とポリシーを持ってやっているところもある。まだ日本は最終どうなるかわからないが、このまま全ての店が将来もあるとは思えない。もう屋上遊園地もお好み食堂も見かけなくなったが、あの頃のワクワク気分というものは大事なキーワードだと今でも思う。