投資の勘

今うちの個人会社では様々なものに投資をしているが、メインは金融、不動産、アート、車である。金融は外資系金融機関に一任勘定の部分が殆どなので安心して任せているが、不動産や、アート、車などは様々な要素が絡まるので面白い。
まず不動産は港区などの中心部はもうすっかり上がり切った感がある。高いところは坪4千万を超し、30坪(100m2)でも10億以上の値段がついている。これはもう天井と見た方がいいだろう(で2、3年前に仕込んだ物件は売却中だ)。今微妙なエリアがある。それは環6から環7にかけてのエリアだ。この辺の土地が動いている。つまり中心部から少し郊外にかけて動き出しているのだ。環8寄りの方まではまだそう変化はないが。ひょっとしたら環7あたりまでが上がりきれば、環8近辺にも値上がりが及ぶかもしれない。その環6から環7あたりで土地が坪400万円以下なら考えてみるのも良いだろう。できれば300万円で買えたらいい。そして出来るだけ広いところが良い。要は広ければ何でも出来るからだ。都心に近いから小さい3階建ての建売みたいな発想ではそんなに儲からない。だったら3軒分まとめて環境の良い共同住宅にした方が高く貸せるし、売れる。そこにはどういう付加価値をつけるかのアイデアがいるが、従来の不動産屋にはそういう発想がないから面白い。土地の売買は不動産屋だが、何を建てるかは不動産よりこちらの方が長けている。そんな状況の中でどう売買するかが面白い。何故そう思うか?実はヒマがあればSUUMOや不動産各社のサイトを見ているからだと思う。毎日のように見ていると変化が見えてくる。価格が動いているのがわかるようになってくるからだ。町名やエリアによってもその動きは違う。しかも半年前、1年前とそういうタームでも変化している。動きがあるというのはそこにチャンスがあるわけである。
アートは今が買い時である。世界は違うが、今日本のアートマーケットは非常に冷えている。SBIなどが行うアートオークションは最低落札価格で落とされることが多い。世界的なアーティストの作品でもだ。従って今は安く買える。先だってもジョージコンドのB4サイズくらいのペインティングを落としたが350万円だった。しかし、その作品を2年ほどしてから海外のオークションに出せばおそらく1千万円以上で売れるだろう。またArtsyなどのアプリで見ているとどういう作家が将来有望かどうかの判断ができる。また最近はChatGPTでも相場を教えてくれるから投資判断が楽になってきた。もちろんアートは投資だけでなく、自分の好みや、コレクションのコンセプトなどいろいろな要素が絡み合っているが、好きなアーティストの作品が値上がりしてゆくのが一番良いことだ。
車に関しては、最近は儲からなくなってきた。一時はポルシェが儲かったが、今はさっぱりだ。儲かるというのはリセールに出して買った時よりも高く売れるということだが、今はフェラーリのスペシャルカーだけになってしまった。が、しかし、フェラーリのスペシャルカーはなかなか買う事ができない。今までどんなフェラーリを買い、どんな遍歴を持っているのか、また現在どんな車種を何台持っているかなどがフェラーリ本社で管理されていて、スペシャルカーを誰に与えるかはイタリア本社が決めるわけである。従ってそのクラスに入っていないといくらフェラーリに乗っていてももらえないのである。世界でその権利を与えられているのは約500人。ほぼその人達は10数台所有し、所有史もそれなりのストーリーがあるのである。そこまで行くと10年に1台発売される超スペシャルカーがもらえる。そしてその1台がもらえれば、今までの投資は大幅なプラスに転じるのである。しかし、そこまで行くのには10億円以上の投資が必要である。
あとはクラシックカーである。その目利きが出来、程度の良い車を手入れして大事に扱っていると高くなる。弊社でもメルセデスの300SLやBMWのZ8アルピナなどは購入時の1.5〜2倍になっている。
しかし、アートも車も趣味の領域だ。金融や不動産に比べたら担保価値もないし、明確な評価基準もない。従ってそんなに多くの金額を費やすることはないが、そういう領域だけに破格の利益をもたらしてくれることもある。何を隠そう今までで最高の利益率をもたらしてくれたのは買った値段の18倍まで上がったアートだ。
そんな風に投資の世界に入って久しいが、なんだかんだ言っても最大の秘訣は現実をつぶさに見つめていることだ。そういう意味では不動産ならSUUMOや三井のリハウス、KENなどの不動産仲介各社の情報を暇があれば見る事だし(もちろん表に出てこない情報もあるが、それは不動産会社とコネクションを持つことだ)、いろんなところで開催されているアートフェアやギャラリーに顔を出したり、オークション情報を知ることだ。また多くの美術を見ていると、たとえ作家を知らなくても、良い作品かどうかの判断くらいは出来るようになってくる。もしその作家を知らなくても、良いと思う作品を買えば将来が楽しみである。もちろん上がらない場合もあるが、鑑賞する楽しみは変わらない。金融と同じようにアートも車もポートフォリオが大事だ。①そんなには大きくは上がらないが確実に上がる巨匠の作品、②確率は低いかもしれないが将来化けるかもしれないまだ安い作品、③価格優先より本当に自分が気に入った作品。やはり投資を安定させるのは①である。②は賭け、③は趣味という感じだ。車も同じような感じだ。自分の場合は普段乗る車はあまり値上がりなど考えないポルシェタルガGTS。たまにローマスパイダー。しかしメルセデス300SLやBMWのZ8、他のフェラーリなどは全く乗らなく、倉庫で保管している。
長く経営者をやっていた時は様々な判断を強いられる時があるが、自分の勘を大事にする事がある。その勘というのはやはり長年の経験上から生まれる勘だと思う。投資をする勘も同じだと思う。長くじっくり経験を積み上げ、情報を収集していれば勘が磨かれてくるのだ。
瞬間、瞬間の出来事ではない。いくつかの事象を結びつけると推移になり、推移から未来を予測できるようになるのだ。勘が冴えた結果、良い投資になった時に感じる喜び。それは自分が生きてきた証だと思う。生きてきた時間から生まれた結果だと思う。投資対象のことだけでなく様々な情報や人と話して気づくことなど、多くの自分の脳にある情報の分析結果が勘になるのだと思う。