エルメス商法、フェラーリ商法
エルメスのショップに行って「バーキン下さい」「はいどうぞ」とはならないのはみんな知っていると思う。もちろん常連になって担当がついていれば別だがそう簡単にはバッグは買えない。が、たまーに、海外のエルメスの店でちょっと靴とか小物を買ったついでに「ところで今日は何かバッグがある?」と聞くと出てくる場合がある。とにかく何かを買わないとお目当てには巡り会わないようになっている。ところが昨今、この抱き合わせ商法が問題になってはいるがアメリカで訴訟になったが問題にはならなかったらしい。実際に客を区別しているのは明確だが、それを客に明かすことなくビジネスをしているからそう問題にはならないのだろう。事実、何も他に買わなくても1発で買えたという人もいるにはいるようだ。そして、今はブルーボックスという特別仕立てのバッグが出来ている。通常のケリーやバーキンではなく特別仕様でブルーの箱に入っているのである。これは上得意の人にしか渡らない商品だ。もちろん価格も高いが、更なる羨望を呼び起こし、ブランドの付加価値につながっている。
そしてフェラーリという車がある。フェラーリの場合は世界中の顧客管理がバッチリされていて誰がどの車を持っているかは明確にマネージされている。特に新車が出る場合今までの購入履歴によって買える権利が与えられる。しかも系統別に分けられており、12気筒、8気筒、6気筒ハイブリッド、レーシングモデル、GT系モデル、SUVなどがある。また、それぞれの系統で限定のスペシャルモデルが発売されるが、それはイタリア本社が明確に誰に売るかを指名してくるのである。先だって発表された296スペチアーレは296GTBか296GTSを持っている人の中でしか割り当てられない。また公道を走れる最強モデルのSF90XX(世界で799台)はSF90やSF90スパイダーは必須で持っていなければ権利はもらえない仕組みだ。世界にはフェラーリのトップVIPが500人ほどいるらしくその人達には優先的に新しい車が行くらしい。日本では50人ほどだろうか?しかし、15台以上コレクションしている人達ばかりであり、どうせコレクションするならその領域に行かないと中途半端になってしまう。つまりフェラーリは運転する楽しみもさることながら、顧客を囲い込み、投資としての付加価値をつけ自己経済圏をつくり上げている企業である。つまり、フェラーリの場合、どのモデルも永遠に作り続けることが無いので、リセールで大きく損をすることはない。そして、実績を積み上げて限定モデルを1台でも手に入れることができれば、その車は3倍、4倍と値段が上がってゆくので今まで多少損した部分も取り戻せるので、確実に投資対象になっている車なのである。
最近ヴィトンやグッチの業績が冴えない。デザイナーを変え新商品をどんどん生み出し、次々に世の中に送り出すビジネスにあまり良い評価が無いらしい。確かに世の中の時流は大量生産、大量消費ではなくなっている。サステナビリティの世の中だ。貴重な良い商品が長くにわたって価値を落とさずに、そして更に付加価値がつくように仕掛けているエルメスやフェラーリのやり方は今後のビジネスの大きなケーススタディーになるであろう。