アメリカで感じた小売事情
5番街を通るとヴィトンのトランクを模した巨大な仮囲いが見える。新店舗ができるのだろうが、この仮囲いを見て最近の業績の落ち込みに何となくうなづけた。何故かというと世の中のラグジュアリーに対する概念に変化が見られると思うし、もうこういう「どうだー」的な仕掛けに食傷気味になっているからである。少し前のブランドロゴを前面に押し出したトレンドもすっかり消えたが、あれも「いい加減にして」「お前もかよ」的な感じで一世を風靡したが、そんな時代でもなくなった。ただでさえ今はエシカルなものや、丁寧な仕事や、自然などへのこだわりが新ラグジュアリーとして捉えられているのに、今さらデザイナーをどんどん変え、新商品をどんどん出しているブランドはどうしても敬遠されがちになっていると思う。GUCCIなどもそうだが、やはりエルメスの安心感やCHANELなどの方がブランド価値としては高い。
今回アメリカで、少し気になったのはスマッシュバーガーだ。厚いパテを焼いて何層にもしてチーズとソースでこれでもかとハイカロリーのバーガーが少しウケなくなっているのではと思う。代わりにスマッシュはパテを押しつぶすように薄くカリカリに焼き、全体にシンプルで薄いバーガーに仕上がっている。またポテトも生のポテトをじっくり揚げている感じで以前のアメリカンダイナー的なバーガーとは一線を画している店が何軒かあった。日本ではまだ聞かないが、スマッシュは多分どこかが仕掛けるのではないかと思う。これもちょっと健康を意識した流れがあるような気がする。
話は変わるが、日本のスーパーはかつてはアメリカに習うようにチェーンストア理論で構築されていたが、なかなか高級業態が日本では生まれない。紀伊國屋や明治屋もあるが、やはりイギリスのWaitroseやアメリカのWHOLEFOODS、EREWHONなどのような業態が出てこないのが残念だ。はなから日本では値段が高いのは無理だと思っているのかもしれないが、食のデザイン化、つまり食物販の付加価値づくりが遅れているのだと思う。ただでさえ物価高が叫ばれている日本ではあるが、高級スーパー業態を生み出そうとする気概のある人がいないのが残念だ。