コペンに来たよ

こちらでもニュースでやっているが本当に熊本の人達には言葉もない。爆発したイオンモールにはFrancfrancも出店しているが、お客様もスタッフも無事だと知らせを受けてホッとしたが、まだ安否のわからない人達の無事を願うばかりである。
ところで、こちらはだいぶ南仏の暮らしにも慣れてきたが、毎日があっという間に過ぎてしまう。いろいろ近所の不動産を見にいったりしたが、イカンイカン、今は建てようとしている終の住処に集中しようと思いとどまる。終の住処と言っても家族が住む計3戸の集合住宅仕様だ。ただ今回は建築もさることながら本当にこだわって、こだわって、何も無駄がないけど、余計なものもないという風にしたいと思っている。それは家具や道具というものだけではなく、線や角やr、色、素材などにでもである。ましてや人に見られても「あー○◯風ね」とか「どこそこの家具ですね」などとあまり言われないようにとも思う。もちろん名作品を置くのは構わないのだが、それを置く理由や、周りとの調和を完璧にしたい。今までは多少我慢していたが、エルメスのクッションやブランケットなど言語道断、例えどうしてもエルメスだったとしても、誰もわからないようなエルメスのロゴのないものにするだろう(基本入れないだろうと思うが)。ソファもカッシーナやミノッティはないだろう。世界中の家具の中からこれというものを入れるつもりだ(決して高いだけが良いのでもない)。そして家具だけではなく、家のスペースに対しバランス良く配置するアートやオブジェ。これも意図されたものを必然のようにおかなくてはと思う。生活空間ではあるが、床間の三具足の配置のように無駄がない洗練されたものにしなければ素人臭さが出てしまう。そういう意味では最近読んだ谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」は参考になった。漆の良さが伝わるほの暗さや、明るさを落として調和をはかることなど、もちろん和室などつくらないが、北向きの場所などは影をうまく利用できるような配慮をしたいと思う。
そんなこともあり、北欧に来てみた。まずは久しぶりのコペンハーゲンだ。10年以上ぶりだが、インテリア系やライフスタイル系、北欧ファッションの店など何軒か見て回ったが、やはり暮らしへの造詣が深い街というか、レベルが高い街だなと思う。以前と比べ何か変わっているかと言うと、そんなに変わってはいない。しかし、また見ても、やはり良いなぁと感じさせてくれるのが良いのである。この何十年の時を経てもやはり良いと思えるのが大事である。街の人も相変わらず見た感じ重そうな自転車に乗っている人が多いが、別に自転車にしか乗れない貧乏なのではなく、敢えて自転車に乗っている。街の大きさも自転車でちょうど良い大きさだ。ファッションもそう派手系のものが多いわけではないが、素材が良くベーシックなものが多いが、センスがいいのである。そしてかつての日本人がそうであったように良いものを長く使うカルチャーがあり、街の中には洋服も家具もヴィンテージ屋が多い。いつの間にか日本人にはそういうスタイルが消えてしまったが、改めて長く使われたものでも十分な手入れがされていれば、新品では醸し出せない空間が作れるのである。何もかもが新品である必要などないのだ。この後、ストックホルムに出向き、来年は久しぶりにミラノサローネにも行こうと思う。実はアメリカにも良いものはある。ノースカロライナあたりの出来の良い木材を使ったシェーカースタイルの繊細な椅子もいいものだ。またボスニアヘルツェゴビナにも素晴らしい木工屋がある。もちろんイタリアや日本にも。終の住処は完成までまだ2年半ほどかかるだろうが、自分の最後のカサミラだと思っている。