THE LIFEFUMIO TAKASHIMA
ダイアリー2025.12.15

マイアミアート事情

今年もARTフェアに行ってきた。マイアミでは、ART BASEL MIAMI、ART MIAMI、Untitled、SCOOP、NADA、Design MIAMIの6箇所のアートフェアにルベール美術館やPerez美術館などを回るので今回も4泊したが、時間もそれなりにかかる。リゾート地故に買い物や、海辺でのんびりなどしていたら1週間ぐらいは必要だ。しかし、不思議なものでなかなか頭が切り替わらないのか、アート三昧しているとあまりリゾート気分にもならない。また自分の場合はコレクターとしてみているので、それなりに良いものがあれば大金を使うわけで、買い物の方も洋服を買おうなどと言う気にもあまりならない。つまりどっぷりアートに浸かっていればまずまず満足してしまうというワケだ。今回はトランプの影響かヨーロッパのギャラリーの不参加があり、少し空きスペースなどがあったがメジャーどころはあまり関係なく相変わらず大作が見れて面白かった。しかし、従来のアートバブル感もなく、一般的に凄い価格のついた作品は一部を除きなかったように思う。唯一、Alex Katzだけは98歳ながらいまだに描いているので、ここ10年で爆上がりし、とっくに手の届かない作家になり、今や新作は億円単位になってしまったので指をくわえて見ているしかない。3年前のグッゲンハイム美術館で行った大回顧展が近年のエンジンにもなりもう買えない作家である。思えば15年くらい前に買い込んでおいたら今頃は大変なことになっただろうになぁという、アートあるあるな話である。しかし、相変わらず、ピカソやリヒターやバスキアなど大御所は安定の数十億円台の価格だった。

トレンドとしてはあまり新しいトレンド感は見れなかったが、いっとき増えたアジア、アフリカチックなものも影を潜めてきた。また有名作家の「こんな作品どこにあったんだろう」的な世に出ていなかったような作品がチラホラあり、コレクターの世代交代みたいなものも背景にはあるのかなと思ったり、また作家の子孫などが運営する財団などの懐事情などもあるのかもしれないなと想像してしまう。相変わらず日本人はあまり見かけなかったが、円安だし、航空券も高いし(今回マイアミ、NY、ホノルルビジネスで200万、去年の倍)、ホテルもバカにならない。アート業界は今は少し冷え気味だが、それだけに世界のコレクター達は今が買い時とばかりに大作を買っているのだろう。

しばらく見なかったジェフクーンツがマイアミでもNYでも大作を出していて、この作品のためにしばらく時間を空けていたのかと納得した。

会場を回る際、自分の場合は大御所作家の作品もチェックはするが、自分の好みというのも大事にしている。元々アートは嗜好品であるし、ビジネスありきでは無かったはずだ。従って、あまり好きでもないものに儲かるからと言って、大金を払うのも何だかなぁと思うのである。しかし、投資という観点も自分の会社としては大事なので、そういう目線も半分、自分の好みも半分みたいな感じだ。更に細かく言うと、好みでもどういうギャラリーが扱い、その作家がどのような位置にいるかと言うのも大事なポイントである。プロフィールも大事だが、近年は各作家のインスタがあるので誰がフォローしているかを見れば何となくわかるのでありがたい。先だっても買えなかったが、ある作品が気になりその作家のインスタを見ると世界一のギャラリーであるガゴシアンやそれなりのアーティストがフォローしていたので、その作家にインスタのメッセージを送り、所属ギャラリーを紹介してもらった。今までの作品はほぼ完売なので、次回の作品をそのギャラリーから紹介してもらおうと思う。興味ある作品があってもあまりに無名でそこそこのギャラリーでなければ将来性はわからない。まだ価格的にはじゅうぶん買える範囲でそれなりのアーティスト仲間や世界的ギャラリーがフォローしている、つまりスターダムデビュー前くらいのアーティストを見つけるのが一番確実性があると思う。そういう作家は他の業界でも同じで歌手で言えば世界的なレーベルが目をつけ始めているというのと同じだ。またアートフェアなどでそういう作家の推移を見ていると徐々に力をつけていたりするので、見過ごせない。日本の作家ではなかなかそうなる人は少ないが、これからの日本の若い作家にも早くそうなって欲しいと思う。草間彌生、村上隆、奈良美智などに続く人がもっと現れて欲しいものだ。いくらAIが発達しても、〇〇風な絵は描けても(例えばリンゴを草間風に描いてとか)、オリジナルな芸風は作れない。人間としての作家のもつ才能というものは未来永劫AIには負けることはない。いっとき話題になったNFTも最近は噂も出ない。素晴らしいアートに触れている時間。買う買わないではない。そこに居合わせるという時間こそが何よりの豊かさの一つだと思う。

※写真はジェフ・クーンツの新作