お悔やみ

知り合いのSNSで知ったのだが、元森ビル常務の頭山さんが元旦に亡くなられたとの事。実は今から25年ほど前に元西武百貨店社長の水野さんから紹介いただき、六本木ヒルズの話を聞き、是非新しい業態を作りたいと申し出、いろいろ話し合った。一緒に上海に行ったり、サザビーの鈴木陸三さんと3人で何回か朝食会をやったりし、打ち合わせをしたものだ。自分は「日本で最高級のライフスタイルストア」をやりたいと申し出、AGITOという業態を作ったのである。2003年の開業であったが、商業施設の顔とも呼ぶべき場所に、AGITOとエストネーションが大型の代表店舗であった。AGITOは300坪の店でヨーロッパ始め、日本の工芸品など世界中から逸品を集め、俗に言う多くのヒルズ族から支持された。今から思うとよくあれだけのスペースをまだ見たこともない新業態に提供してくれたものだと頭が下がる思いだった。自分も毎日店にいたが、頭山さんも毎日のように顔を出してくれ様子を見ておられた。自分もまだ40代で上場していたし、勢いもあった。自画自賛だが、日本中であんな店は存在しなかったし、自分としては世界に堂々と誇れる店だと思ったし、実際海外のデザイナーにも名前は知れ渡っていった。ファッションと違い、インテリアは商業施設の中でも他の施設との差別化の大事な業種であったので、六本木ヒルズにAGITOがあった事はある種新しさを醸し出せたのではと思う。バイヤー達も世界中を周り、まだ日本では目にしたことのないようなものを仕入れていたし、またそれらがよく売れた。そんな新しい業態だったが、思えば、頭山さんには恥をかかせられないと思うほど任せてくれたことが大きかったと思う。日本一の都心の商業施設に日本で初めての店舗を作る、しかも最大型の300坪。最大にして細心の意気込みで作り上げたものだった。いろんな経緯を経て、最終的には10数年で閉店することになったが、あの時の経験は自分のインテリアに対する意識がグッと深まった時であり、今でもどこかに、最高級のインテリアライフスタイルショップというのは課題のようにあるし、やろうと思えばもう一度作り上げることは出来ると思っている。自分の造詣の全てを賭ければであるが。しかし、リアルな人や在庫の問題を考えると躊躇せざるを得ないことだ。今世の中にAGITOみたいな店は世界中どこにもない。メーカーのショールームがたくさんあるだけだ。改めて頭山さんを偲ぶと、実は「そんな会社に300坪も渡して大丈夫なのか」と社内でもおそらく異論があったはずだ。しかしそれを整理して、信頼してくれたことには本当に感謝しかない。真剣に業態のことを語った上海の夜や、オークラで朝飯を食いながら陸三さん含め3人でこんなことやろうなどと話し合ったのがついこないだのことのようだ。今となっては四半世紀前の一つの熱い思いが六本木ヒルズの歴史の中にあったのは誰も知るよしのない事だ。
今更ながら自分の人生の中ではある種、師であったように思う。安らかにお眠りください。